9.文化の多様化と都市化|大正文化をストーリーで理解する

3-②文化の多様化と都市化

白樺派・耽美派・新思潮派から都市大衆文化・生活の近代化までを整理

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大正期の文化的特徴

大正時代は、国家中心の価値観がしだいに後退し、個人の生き方・感性を重視する文化が台頭しました。 文学の潮流は多様化し、雑誌や都市文化の発達と相まって「大正ロマン」と呼ばれる独特の文化空間が生まれます。

1. 文学の多様化:三つの主要潮流

耽美派(たんびは)

道徳的な善悪にとらわれず、官能的な美を追求する文学傾向です。恋愛や情念、感覚の世界を重視しました。 代表作家には 永井荷風ながいかふう谷崎潤一郎たにざきじゅんいちろう がいます。

白樺派(しらかばは)

人間賛歌・自己肯定を旗印にした理想主義的な文学です。平易で温かい文章で個人の尊厳を主張しました。 代表は 武者小路実篤むしゃのこうじさねあつ志賀直哉しがなおや。雑誌「白樺」を創刊しました。

新思潮派(しんしちょうは)

現実を理性的に把握・描写する傾向の文学で、芥川龍之介あくたがわりゅうのすけ菊池寛きくちかんなどが活躍しました。雑誌「新思潮」で作品を発表しました。

解説たぬき
解説たぬき

芥川龍之介は夏目漱石の弟子じゃったんじゃよ。夏目漱石は「余裕派」と呼ばれたそうじゃな

子たぬき
子たぬき

吾輩は猫である!

文学派の簡易対照表

  • 耽美派たんびは官能的美・情念(永井荷風ながいかふう谷崎潤一郎たにざきじゅんいちろう
  • 白樺派しらかばは人間賛歌・自己肯定(武者小路実篤むしゃのこうじさねあつ志賀直哉しがなおや
  • 新思潮派しんしちょうは理性的な現実描写(芥川龍之介あくたがわりゅうのすけ菊池寛きくちかん

2. 都市大衆文化の形成:新中間層と雑誌文化

大正期には義務教育を受けた新中間層が都市を中心に拡大し、文化の担い手となりました。 彼らを読者とする雑誌や大衆メディアが発達し、多様な価値観が日常的に流通するようになります。

雑誌の発達

総合雑誌(例:中央公論)や女性向け雑誌(例:主婦之友)などが登場し、 記事・論評・小説・実用情報を通じて文化を広めました。

解説たぬき
解説たぬき

中央公論は今も刊行が続いておるな

子たぬき
子たぬき

創刊一三〇年超の日本最長寿雑誌だ!

新中間層の文化消費

  • 読書・雑誌購読が普及
  • 劇場・映画・カフェなど都市文化の消費が拡大
  • 消費文化の変化が生活様式にも波及

3. 都市生活の近代化:暮らしの変化と大正ロマン

都市インフラの整備や生活様式の変化が進み、「大正ロマン」と呼ばれる文化的気分が生まれました。

近代的インフラの普及

  • 鉄筋コンクリート建築の増加
  • 電車・自動車の普及、電灯・ガス・上下水道の整備
  • 都市勤労者向けのアパートの出現

洋装の普及と女性の社会進出

職業婦人(女性労働者)の増加にともない洋服が日常へ浸透。女性の通勤・外出着として洋装が一般化しました。

解説たぬき
解説たぬき

着物のイメージは「はいからさんが通る」で見られるような振袖じゃな

子たぬき
子たぬき

可愛いよねえ

食文化と建築の変化

洋食や洋風調理法が都市から地方へ広がり、役所や銀行・大商店などには洋風建築が増えました。 これらは「見える近代化」として人々の生活感覚を大きく変えました。

まとめ:大正文化の意義

大正期は政治面での大正デモクラシーと並行して文化面でも「個人」「自我」「都市生活」が強調される時代でした。 文学の多様化、雑誌と大衆文化の発達、都市の近代化が相互に影響しあって、多彩な文化が開花した点が大正文化の大きな特徴です。

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参考文献

  • 大学受験 新標準講義 日本史探求(田中結也)
  • 新課程 チャート式シリーズ 新日本史(門脇禎二)
  • パラダイムシフトでおさえる日本文化史(田中結也)

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